インドアゴルフ経営
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海外研修レポート【GOLFZON本社研修記】~その②~完結編

2023.10.14
コラム

(前回/海外研修レポート①の続き)

 

ソウルの不動産は高いけれど

韓国では、なぜ日本では考えられないような大規模のインドアゴルフの施設が存在しているのか。

 

答えはシンプルに「儲かるから」。

 

インドアゴルフは、それなりにスペースを要するビジネスです。打席からスクリーンまでが3.5mほど、打席後方にも安全マージンが約2m。そしてスクリーン幅に3.5mは必要です。ちいさな飲食店であれば成立してしまうくらいの面積を、たった1打席で使ってしまうのです。打席数が増えれば、当然必要な面積も大きくなるため、インドアゴルフの営業は坪単価との戦いになってきます。そしてたとえ大きな箱が用意できたとしても、それに見合うだけの集客が見込めなければ、設備投資の回収に苦しむことになります。

 

そのため、日本では、小規模な施設にせざるを得ないというのが実情です。

 

では、なぜソウルでは、ボーリング場とも見紛うような大きな施設が成立しうるのでしょうか? ソウルはご存知の通り韓国の首都であり、当然地価も安くはありません。ソウル市内の不動産価格は、東京と比較しても同等かそれ以上と言えるでしょう。それだけの賃料を払っても償却できるほどの集客力が、果たしてあるというのでしょうか?

 

GOLFOZN本社視察01

GOLFOZN本社視察

photo1:貸切フロアにオープンレーンの打席がズラリと並ぶ

 

その秘密は、ソウルの商業物件の賃料にあるようです。どうやら、ソウルの中心部であっても、商業物件の賃料は住宅に比べて低めに抑えられており、坪単価で見れば東京都市部の数分の一というような設定のようなのです。つまり、シンプルに「賃料が安い」ということが、まずは挙げられるでしょう。インドアゴルフの運営において、いちばんのコストは賃料ですから、最大のハードルがクリアできれば、ビジネスとして成立する可能性は格段に上がります。

 

ちなみに、なぜ賃料が安いのかといえば、都市計画上、日本でいうところのタワーマンションが立ち並ぶような集合住宅の集積地に商業エリアを設け、そこに割安の賃料でテナントを誘致しているためです。エリアの魅力を高めるためのコンテンツとして、インドアゴルフがその役割を果たしていると言えるでしょう。日本と比較すると、なんとも、羨ましい環境ではあります。

 

GOLFOZN本社視察02

GOLFOZN本社視察

photo2:集合住宅の集積地に、割安のテナント物件を配置する都市計画

 

 

ゴルフ場供給率が低い韓国の事情

さらには、日本と韓国のゴルフ環境の違いがあります。日本は世界でも有数のゴルフ場数を誇る国であり、閉業するコースが増えている現在であっても、いまだに約2,300のゴルフ場が国内に存在しています。これは断トツトップのアメリカ(約1万5,000)を除けば、カナダやイギリスと並んで世界で2位グループに位置します。一方の韓国には、約450コースほどしかありません。国土面積の差(韓国は日本の約1/4)を割り引いたとしても、日本と比較して韓国にはゴルフ場が少ないと言えます。

 

そして人口です。韓国の人口は日本の4割強の5200万人ほど。日本では5万4,000人あたり1つのゴルフ場が存在する計算になりますが、韓国では115,000人あたり1コースと、日本の半分以下という数値になります。

 

つまり、韓国ではゴルフ場の供給率が日本に比べて半分以下である、ということになります。その市場原理からプレー費は当然高騰し、週末のソウル近郊であれば、日本円で約5万円するコースもあるようです。つまり韓国では、日本のように気軽にラウンドできる環境がないのです。

 

GOLFOZN本社視察03

GOLFOZN本社視察

photo3:打ちっぱなしのVIP個室に、シミュレーターが置かれているケースも

 

日本のインドアのヒントになるか

さて、ここでインドアゴルフの登場です。ご存知の通り、韓国は多くのトッププロを排出している「ゴルフ大国」であり、ゴルフは国民的に人気のあるスポーツです。しかしながら、気軽にプレーできる環境がない、となれば、その帰結としてインドアゴルフに人気は集中します。都心部に大規模な施設を作ったとしても、それに見合う集客を可能とするだけの背景があるのです。

 

前回書いたように、ソウルの一等地、ファイブスターホテルが入居する複合施設に30打席のアカデミーが存在したり、街の中心部に10を超える個室ラウンジを擁する施設が点在していたりと、日本のインドアと比べれば大規模な店舗が成立する理由、それは賃料の安さと、供給不足によるゴルフ場の高さにあるようです。手軽な料金で楽しめるインドアゴルフは、韓国のゴルファーにとってなくてはならない施設になっているといえます。

 

さあ、これをお隣韓国ならではの特殊事情と捉えるか。あるいはここからヒントを得て、日本での普及に活かせるのか。インドアゴルフ事業者の経営手腕の見せ所と言えるのではないでしょうか。

 

GOLFOZN本社視察04

GOLFOZN本社視察

photo4:太田(テジョン)にあるゴルフゾンのゴルフテーマパーク「ZOIMARU」の周辺環境

 

GOLFOZN本社視察05

GOLFOZN本社視察

photo5:ZOIMARUにはゴルフゾンのレッドベター アカデミーが入居しており、

若いプロゴルファーの卵たちがここでトレーニングに励んでいる

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